その瞳に映るのは・・・
「ただいまー!」


扉を開けるとさらに香りが増した。


無意識に唾を飲み込んでしまう。


「お客さんもう閉店ですけど?」


エプロンをはずしオフモードの颯は左端のカウンター席に座っていた。


「颯に会いたくてね?」


私はいつもの席に座って反対側に座る颯の方を向く。


「飯食いに来ただけだろ」


私の告白をスパッと切り捨てる。


少しぐらい本気にしてくれてもいいのに


と思いながら私は少しふてくされた。


「ほら、これやるよ」


颯は何かを投げ私は素早く手をだしキャッチ。


それはラップにくるんだサンドイッチだった。


トマトやきゅうり、レタス。

色とりどりの野菜を挟めているここの人気メニュー。


「もしかしてとっといてくれたの?」


「誰がお前のために。残り物だ」


嘘だ。これが残ることなんてないぐらい人気なんだから


それに颯は嘘をつく時、耳につけている赤いピアスを必ず触る。
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