年下御曹司は初恋の君を離さない
「いつか、しっかりと言わないとダメだよね」
私は寝返りを打ちながら、小さくため息をつく。
友紀ちゃんから『ずっと好きだった』と告白をされている。そして、その返事を私はしていない状況だ。
早く、断りの返事をした方がいい。そして、彼には早々に諦めてもらわなくてはいけないのだ。
友紀ちゃんが、どれほど魅力的な大人の男性になっていたとしても。胸の高鳴りを感じていたとしても……私はもう、恋はこりごりだ。
返事を渋っている理由はただ一つ。
返事をしなくてスルーしていたとしても、友紀ちゃんとは付き合えないと断ったとしても。関係がギクシャクするのは目に見えている。だからこそ、勇気が出てこない。
何度考えてもうまくいきそうもない事態に頭を抱えてしまう。
はぁ、と再び息を吐いたのだが、なにやら一階から楽しげな声が聞こえてくる。
スマホに手を伸ばして、今の時間を確認する。午前九時。いつもとは比べものにならないほど遅い時間に起きたようだ。やっぱり疲れていたのだろう。