年下御曹司は初恋の君を離さない


 また下から笑い声が聞こえてきた。誰かお客様が来たのだろうか。首を傾げていると、ノックの音が聞こえた。
 弟の紀彦だろうか。あの子も今日は休みだと昨夜言っていたはず。

 しっかり覚醒していない頭で考えながら「はーい」と返事をする。
 目を擦りながら扉を見て、私は目を大きく見開いた。そして、先ほどまでボッーとしていた頭が一気に覚めた。

「寝起きの未来さん、めちゃくちゃセクシー。その掠れた声、堪らないね」
「な……」
「それに、すっぴんの未来さんを久しぶりに見たけど、やっぱり可愛い」
「っ!」

 どうしてここに友紀ちゃんがいるのか。聞きたいのに驚きが大きすぎて言葉が出てこない。
 口をパクパクさせているだけの私に、友紀ちゃんはなんの躊躇もなく私の部屋に入ってくる。

 未だに布団をかけてベッドに座っている私に近づくと、彼もベッドに腰を下ろした。
 ギシッとベッドのスプリングが軋む音がして、ようやくハッと我に返る。


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