年下御曹司は初恋の君を離さない
「ど、どうして……! 副社長がここに!?」
私の驚きはもっともだと思う。それなのに、質問の答えを言わず友紀ちゃんは眉間に皺を寄せた。
「未来さん。約束が違う」
「は……?」
「会社では未来さんの立場を考えて副社長で呼んでもいいって言ったけど、今は俺のことは友紀ちゃんって呼ばなくちゃダメでしょ?」
「え? なんで?」
友紀ちゃんと向き合うときは、秘書モードを崩さないようにしようと思っていたのに素で答えてしまう。そのことに気がついて一人慌てていると、彼は再びベッドのスプリングの音を軋ませた。
え、と思った瞬間、彼は私に覆い被さるように身体を動かしていたのだ。
私の身体を跨ぎ、顔を近づけてくる。近い……!! 近いよ、友紀ちゃん!
カチンと身体が固まっていると、彼はフッと表情を緩めて笑う。その笑みがとてもセクシーで、胸の鼓動が速まってしまう。
あまりの近さに、息を呑む。そして、副社長室で再会した日を思い出す。