年下御曹司は初恋の君を離さない


 あのとき……彼は私にキスをした。今、その再現をしているように感じて、顔が一気に熱くなる。

「今はプライベートでしょ? ここはどこだと思う?」
「っ!」
「未来さんの部屋で、ここはベッドだよね?」

 その通りだ。そして、この空間に友紀ちゃんがいるのはおかしい。
 反論しようとしたのだが、先に友紀ちゃんが口を開く。

「そして、この部屋には二人きり」
「なっ……!」
「ね? そうでしょう?」

 色気たっぷりに囁く彼の唇から目が離せない。瞬きさえもできずにいる私に、彼はより近づいてきた。そして、唇に柔らかい感触が……?

 目を見開いたまま固まり続けていると、彼は目尻に皺をたっぷり作る。

「ふふ、未来さん、可愛いな。もっとしてもいい?」

 再び私に近づいてくる彼を慌てて制止させる。両手を伸ばし、これ以上私に近づけないようにした。


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