年下御曹司は初恋の君を離さない
すると、目の前の友紀ちゃんは不満顔を隠しもしない。
「もっとしたかったのに」
「何を言っているんですか! ダメです! 絶対にダメ! と、言うより……。どうして副社長がここにいるんですか?」
慌てて秘書モードに取り繕う私を見て、友紀ちゃんは冷たい視線を向けてくる。
「何度言ったらわかるのかなぁ、未来さんは。今は、プライベートだよ?」
「……」
「ビジネスのときは我慢するけど、プライベートでは容赦しないよ?」
まさかの事態に陥ったことに、頭が痛くなった。
友紀ちゃんの言う通り。ビジネスのときは私の立場を考えて引いてくれた。だが、プラベートでは名前で呼ぶようにと彼は言っていたし、それに同意したのは私だ。
だが、あのときの私は甘かったとしか言いようがない。
プライベートで友紀ちゃんと会う機会などないと思っていたし、そんな事態に陥りそうになったらなんとしても逃げようと誓っていたのだ。