年下御曹司は初恋の君を離さない
とにかく、私の頭は混乱を極めている。冷静な判断などできない状態だ。
それは先ほどのキスが衝撃的だったということもあるが、なによりどうして友紀ちゃんが我が家にいるのかということだ。
それもだ。どうしてこんなに家族と仲良しになっているのだろう。不思議で仕方がない。
今日初めて訪問し、意気投合! といった雰囲気ではなく、とにかく昔から知っているような間柄にも見える。
一人戸惑っている私を余所に、お父さんとお母さんは友紀ちゃんを呼んでお茶を勧めているではないか。
意味がわからず首を傾げていると、弟の紀彦が私を憐れんで見つめていた。
「姉ちゃん……可哀想になぁ」
ポツリと呟いた言葉に、私はしっかりと反応した。
お父さんと楽しそうに話している友紀ちゃんから離れ、私は紀彦の前に立つ。
そして、腕組をして見下ろした。
「紀彦。これはどういう状況なのか。吐きなさい?」
「お、お、お姉様。まずは落ち着きませんか?」
「これが落ち着いていられる状況だと思うのかしら? 我が弟よ」
「……無理ですね」
「そうでしょう」
フンと鼻で笑う私に、紀彦は深くため息をついた。