年下御曹司は初恋の君を離さない
人助けはいいことだ。だけど……と難色を示されるのはわかりきっている。だからこそ、言わずにいたのだ。
私が言わずとも友紀ちゃんと紀彦が繋がっているとわかり、この状況に少しだけ納得する。
納得して頷く私を見て落ち着いて話が聞ける体勢ができたと感じたのだろう。
紀彦は、友紀ちゃんに視線を向ける。そして彼がお父さんに捕まって経済の話をしているのを見ると、再び私に視線を戻した。
「で、友紀が在学中は一応クラスメイトだったんだけど、そんなに親しくなかったんだよ。だけど、友紀の留学が決まって登校最後の日にいきなり俺に話しかけてきたんだ。これから長い付き合いになるからよろしくってさ」
「……長い付き合い?」
友紀ちゃんが高校に在学中、紀彦とはあまり親しくはしていなかったというのに、どうしてそんなことを彼は紀彦に言ったのだろう。
不思議に思って紀彦を見ると、私の気持ちを読んだのか。肩をすくめた。
「そうだよな。今まで親しくしていなかったヤツにいきなりそんなこと言われても訳がわからなかった」
「だよねぇ」
フンフンと何度も頷くと、紀彦はソファーの背に身体を預けて立ちっぱなしの私を見上げた。