年下御曹司は初恋の君を離さない
だが、これは断ってもいいんじゃないだろうか。
友紀ちゃんと今日会う予定は入れていないし、打診だってされていない。
彼が勝手に我が家に来て、勝手にデートに行こうと誘ってきただけだ。
こんな誘いは蹴って、大事な休みを一人で満喫したって誰にも怒られないだろう。
とにかく友紀ちゃんの側は危険極まりない。
これ以上、彼に心をかき乱されてしまったら、自分がどうなってしまうのかわからない。それが怖い。怖すぎる……!!
私は首を大きく横に振り、その誘いを断ることにした。
「行きません!」
「どうして?」
「どうしてって……友紀ちゃんとは約束をしていなかったからよ」
これは本当のことである。私にこう言われてしまったから、さすがに文句は言えないだろう。
フフン、と得意げになっていた私に、友紀ちゃんは悲しそうに視線を落とした。
その表情が女子高校生だった頃の友紀ちゃんの表情に重なり、罪悪感に苛まれてしまい胸が痛んでしまう。