年下御曹司は初恋の君を離さない
「あーあ、姉ちゃん。友紀にまんまと騙された」
「いいのよ、それぐらいやらなきゃ。あの鈍感な未来が友紀くんのことを意識するわけないじゃない」
「友紀くん、無理強いだけは決して」
「何を言っているのよ、お父さん。未来が一生お嫁に行けなくてもいいっていうの? 友紀くんだけなのよ、未来が一緒に居て喜ぶのは。さっきだって、なんだかんだ言いながらも友紀くんに見惚れていたじゃない。これを逃したら、未来は一生独身よ!」
「……」
「いい? 友紀くん。押して押して押しまくるのよ。私が許した!」

 鼻息荒く高らかにお母さんが宣言をしたことなど、私は知るよしもない。そして……

「ありがとうございます、お母さん」

 ウットリするような笑みで友紀ちゃんがお母さんにほほ笑んだことなども、知らなかったのだ。
  
 
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