年下御曹司は初恋の君を離さない
「好きな女性には女だと勘違いされて、その上、ずっとこんなふうに守られていたわけですよ」
「ご、ごめん」
彼のことをずっと女の子だと勘違いしていたことは申し訳なく思っている。
咄嗟に謝ると、彼は首を小さく横に振った。
「いいんです、それは。この前も話しましたけど、未来さんに近づくためにわざと女子高生だと偽っていたんですから」
「友紀ちゃん」
それはちょっと……、と言葉を濁して諭そうとする私に、彼は見惚れてしまうほどキレイな笑顔をする。
「こうして未来さんを守れた。それも男として。念願叶いました」
「友紀ちゃん……」
「ほら、もっとくっついていいんですよ?」
「だ、大丈夫です!」
慌てて彼から距離を取ろうとした途端、車体は大きく揺れ、体勢を崩してしまう。
すると、すぐさま友紀ちゃんは私の腰を抱き寄せてきた。
「ほら、言った傍から」
「ご、ごめんなさい」
「わかったなら、俺にくっついていてくださいね」
「……」
二回も体勢を崩し、結局は友紀ちゃんに助けられた手前、強くは言えない。
ムッとしながら彼を見上げると、再び蕩けてしまいそうな笑顔を向けてくる。