年下御曹司は初恋の君を離さない

「大丈夫? 気分悪くなっちゃいました?」

 私のことを心底心配してくれているようで、その瞳には戸惑いが見え隠れしている。
 そこでようやく、私がどうして彼にドキドキし続けているのかわかった気がした。

 友紀ちゃんは、私のことを女として扱ってくれている。
 他の誰にもしてもらったことがない、女性扱い。それが嬉しくて、くすぐったくて、ドキドキする。

 何も言葉を発さず、彼を見つめたままの私を見て、友紀ちゃんは眉を顰めた。

「人に酔っちゃったかな? ちょっと休憩しましょうか」

 友紀ちゃんは私の手首を掴むと、エレベーターを下りた。キョロキョロと辺りを見回し、近くにあったソファーに私を座らせる。

「どう? 気持ち悪くない? お茶でも買ってきましょうか?」

 ソファーに座った私と目線が同じ高さになるよう、友紀ちゃんはその場にしゃがみ込む。
 そして、私の顔を覗き込んできた。

 長い睫が揺れる。彼の印象的な目元に見惚れてしまう。
 それをボーッと眺めていると、ますます友紀ちゃんの顔が険しくなる。

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