年下御曹司は初恋の君を離さない
「本気だよ、未来さん。俺のこと、四六時中考えていて」
「あ、あの……」
「仕事中だって、ずっと俺のこと考えてもらいたいぐらいだ」
「ほ、本当に何言っているのよ、友紀ちゃん」
「本気だよ。仕事中の未来さん……キリッとしていてクールビューティーで格好いいけど。だけど、秘書の顔を崩したいっていつも思ってる」
「……私の上司なのに」
友紀ちゃんの言い分を聞いていると、仕事をするなと言われているのも同じだ。
ため息交じりで呟いた私に対し、友紀ちゃんはふて腐れたように唇を尖らせた。
「秘書の顔をしていると、未来さんが遠い人に感じて寂しいんだもん」
「寂しいんだもん、って」
ふとした瞬間に見せる、年下の可愛らしさ。そのたびにまた違った感情が込みあげてくる。
オトナの男性でグイグイ迫ってきたかと思えば、こんなふうに年下の男の子の顔を見せる。
私の心をどれだけ翻弄すれば気が済むのだろうか。
だが、残念なことに友紀ちゃんは無意識のうちにしているのだと思う。だからこそ、悔しさが込みあげてくる。