年下御曹司は初恋の君を離さない

(私……友紀ちゃんとプライベートで外に出かけることに内心はしゃいでいた?)

 その考えに行き着いてしまい、私は視線を落とす。

 私の足には今日、おろしたてのパンプスだ。
 この前、フラフラとウィンドウショッピングをしていたときに一目惚れした一品である。

 どこかにお出かけするときに履こう、そんなふうに思っていたパンプス。それを今日なぜ下ろしたのか。
 友紀ちゃんとのお出かけに、渋った態度を取っていても内心では喜んでいた証拠かもしれない。

『しれない』じゃない。……喜んでいたと思う。
 浮かれていた自分が恥ずかしくて、視線を上に向けることができない。

「未来さん?」

 頭上から友紀ちゃんの心配そうな声が聞こえる。

 早く顔をあげなくては不審がられてしまうだろう。だけど、顔を上げてしまったら真っ赤に染まっているであろう顔を彼に見られてしまう。それだけは避けたい。

 だって、私の今の気持ちが丸裸のまま彼に見られてしまうということなのだから。
 しかし、友紀ちゃんは私が名刺を忘れて落ち込んでいるのだと誤解してくれたようだ。
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