年下御曹司は初恋の君を離さない
年中黄金色の肌をしていて、アクティブにしている印象が強かったことを思い出す。
彼は運動だけではなくリーダーシップを取るのも上手で、彼の周りには常に人がたくさんいた。
その中には私も含まれており、彼にかなり懐いていた。
藤司さんとは一緒に大学祭実行サークルに所属しており、その関係で距離がググッと近づいていく。
藤司さんも私のことを可愛がってくれており、端から見れば兄と妹のような関係だったのだと思う。
しかし、当時の私はそれだけでは物足りなくなっていた。彼のことが好きだったからだ。
最初は確かに兄のように慕ってはいた。だが、段々と彼の魅力に引き込まれるように好きになっていったのだ。
大学入学当初から男性不信に陥っていた私だったのだが、藤司さんが少しずつ男性への恐怖心をなくしていってくれた。
サークルに入ってすぐ、ユニセックスな装いをしている私を見て藤司さんは不思議そうに聞いてきたのだ。
『お前さ、どう考えても内面と外面がちぐはぐすぎだろう? 結構女の子らしい性格しているのに。どうしてだ? 何かあったのか?』と彼に聞かれて事情を話したことがあった。
一瞬顔を顰めた彼はなぜか頭を下げて『俺が謝ってどうなることじゃないことはわかっているけど、同じ男として許せない』そう言って、私にストーカーや痴漢をしてきた男たちに怒りを見せてくれた。それが心底嬉しかったことは今も覚えている。