年下御曹司は初恋の君を離さない
自分ももうすぐ社会に出る。そうすると藤司さんと顔を合わせる機会は一気に減ってしまうだろう。
なかなか彼と会えなくなってしまう。その切なさと寂しさから一歩踏み出そうと考えたのだが……
ある出来事が起き、私の恋はめちゃくちゃにされてしまった。
私はすぐさまサークルを辞め、なるべく藤司さんと顔を合わさないように大学生活を送ったわけだが、彼もあの出来事以降、私に近づいてくることはなかった。
私に投げかけてきた言葉は彼の本心であり、関わりたくないと思ったのだろう。
それとも多少の罪悪感を抱いたので、私に気を遣ったのか。
あれほど仲が良かった私たちは、いとも簡単に別れを選ぶことになった。
本当に簡単に縁を切れることに愕然としたものだ。
小華和堂に就職したあとも、私のトラウマをより深いものにした『ある言葉』は、日を追う事に心への枷となっていった。
初めは許せなくて彼に対して憤っていたが、それはすぐに心の傷へと変化していく。
そうして私の心に残ったのは、男性不信に拍車をかけてより深く暗いものになったトラウマだけだった。