年下御曹司は初恋の君を離さない
私は、友紀ちゃんの夢を叶えてあげたい。そう、強く思った。
ギュッと手を握りしめたあと、私は藤司さんをまっすぐ見つめる。
「本当ですね……私が藤司さんから連絡が来たら、せせらぎに行けばいいんですね?」
「……」
「そうすれば、小華和堂と仕事をしてくれるんですね。約束してくれるんですよね」
「もちろんだ。絶対に約束は守る。だから、未来も必ず約束は守ってくれ」
「……わかりました」
小さく頷くと、なぜか藤司さんは安堵したように息を吐き出した。
どうしてそんなふうな態度を取るのかわからず、首を傾げてしまう。
ふと、藤司さんと目が合うと、困ったように彼は頬を緩ませた。
柔らかく笑う彼は、仲が良かった頃に私に見せてくれていた表情だった。
懐かしさと困惑で戸惑う私に、藤司さんはもう一つ私に約束を突きつけてきた。