年下御曹司は初恋の君を離さない
私はきっと友紀ちゃんに恋心を抱いてしまっているのだろう。
それをイヤと言うほど、今日一日で思い知らされてしまった。
もう二度とすることはないと思っていた恋に、私は溺れつつある。
そんな彼に、私は近づいてはいけないというのか。だけど、藤司さんの言葉と表情を見る限り意地悪で言っているようには思えない。
揺らぐ心を抱きながら、私は首を横に振った。
「それは……できない約束です」
絞り出すように言うと、藤司さんは天井を見上げた。
「そう言うと思った」
「それなら……なんでですか? 意地悪で言ったんですか?」
「意地悪……、だったら良かったんだけどな」
「え?」
藤司さんが何か小さく呟いた。残念ながら聞き取れず聞き返したのだが、彼は答えてはくれなかった。