年下御曹司は初恋の君を離さない
『小華和友紀に近づくな』
彼はどうしてこんなことを言ってきたのだろうか。それに、出来れば仕事も辞めてほしいといったニュアンスのことも言っていた。
藤司さんが私のことを女として見ていないとわかっているが、もしかして恨みでも買われていて嫌がらせで言ったのだろうか。
しかし、嫌がらせにしては藤司さんの顔は真剣そのものだったし、私のことをとても心配している様子だった。
だからこそ、何が何だかわからないので困惑を極めている。そんな状況下で、友紀ちゃんと一緒にはこれ以上いることはできないだろう。
今、私に必要なのは気持ちを落ち着かせることだ。友紀ちゃんと一緒にいては、違う意味でもドキドキしてしまうはず。そうなったらもう、お手上げ状態になることは想像に難い。
まずは家に帰り、今日の出来事を整理する必要があるはずだ。
しかし、どうやって友紀ちゃんに断りを入れようか、迷う心を抱きながら考えこんでいると携帯の着信音が鳴り響いた。