年下御曹司は初恋の君を離さない
渋々と了承した私だが、そのあとがまた大変だったのだ。
友紀ちゃんに「家まで送るよ」と言われたのだが、それは丁重にお断りしたい。
しかしながら、友紀ちゃんもなかなか引き下がらず困ってしまった。
再度社長からの電話が来たことで、渋々引き下がってくれた友紀ちゃんだったが最後の最後までしつこい。
「いい? 未来さん。電車で帰るなんてもってのほか。タクシーで帰ってね」
私の腰を強引に抱き、ホテルのロビーを抜けるとロータリーに待機していたタクシーを捕まえたのだ。
「ちょ、ちょっと! 友紀ちゃん。まだ明るいんだから、電車で帰れるわよ?」
今の時間帯ならさほど電車も混んでいないだろう。悠々と座って帰ることができるかもしれない。
友紀ちゃんにそう伝えるのだが、彼は渋い顔をして強引に私をタクシーに乗せてしまったのだ。
「ちょっと! 友紀ちゃんってば!」
あまりに強引すぎる彼に食ってかかろうとしたのだが、友紀ちゃんの顔を見て口を閉ざした。