年下御曹司は初恋の君を離さない
『未来の好きそうな和菓子、じいさんが作っているから楽しみにしておいで。待ってるよ、可愛い未来』
思わず背後に誰もいないか確認してしまったのは言うまでもない。
藤司さんは私を誘うメールを寄こしたあと、こういう心臓に悪いメールを悪戯で送ってくるのだ。
そのたび私が挙動不審になることに、藤司さんは気がついているのだろうか。
恐らく気がついているのだろう。真っ赤になって慌てる私を想像して楽しんでいるに違いない。
藤司さんは、昔からそういう子供っぽいところがあったから間違いないだろう。
こういった心臓に悪いメールは、かなりの頻度で送られてくる。そのため、智子ちゃんとお昼を一緒にすることを止めたのだ。
メールチェックが出来るのは、休憩時のみ。そのときに藤司さんからの心臓に悪いメールを見て挙動不審になったら……智子ちゃんに色々と突っ込まれてしまうだろう。
それを危惧して、ここ最近は一人で昼休憩を取ることにしたのだ。
寂しそうな顔をしている智子ちゃんには本当に申し訳ないが、これも会社のため、友紀ちゃんのためなのである。