年下御曹司は初恋の君を離さない

「恐らく、畠山が誰かを使って未来を監視しているな」
「畠山さんって……大学のときの?」

 どうして彼女が今更私に接触する必要があるというのか。それに、人を使ってまで監視をするというのは異常である。

「藤司さん、もしかして畠山さんと今も付き合っているんですか?」
「は?」
「それなら彼女が怒るのも仕方がないです。恋人の近くに女の影があったら面白くないはず。それに相手はこの私なんですから」
「あのな……あの女とは付き合ったことなんてないぞ」

 藤司さんの衝撃的な言葉に、私は思わず仰け反ってしまう。
 ビックリしすぎて、言葉が出てこない。それほど動揺している私に、藤司さんはハンドルに腕を置いてポツポツと話し始めた。

「畠山みのり、あの女は大学生の頃から危険だった。金にモノを言わせ、好き放題していたお嬢様だ。気に入らないヤツは排除、それも排除の仕方がえげつなくて実は有名だ」
「畠山さんが……」

 確かにそういう噂を聞いたこともあるし、彼女はとてもプライドが高かった。
 だからこそ、恐れられていることも知っている。だけど……

 唖然としている私に、藤司さんは続けた。
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