年下御曹司は初恋の君を離さない
「で、七年前の出来事に遡る。俺はな……久保未来が好きだった」
「は……?」
次から次に出てくる衝撃の事実に頭が着いていかない。口をぽっかりと開ける私を見て、
藤司さんは切なそうに笑った。
「好きだったんだ……ずっと大事にしたいと思っていた。だから、社会人になってもサークルに顔出したりしてな。いじらしいだろう?」
「……」
「だが、あの頃の畠山は俺を狙っていた。だからこそ、未来は畠山にとって邪魔な女と認定されてしまった。そして……俺は聞いてしまったんだ。畠山が金で男を買い、未来を貶めようとしていることを」
「っ!」
言葉をなくした私に、藤司さんは深々と頭を下げてきた。
「今更謝っても遅いことはわかっている。だが、あの頃の俺はああする方法しかなかった。酷いことを言って嘘をつくしか、未来を守ってやれる術がなかった……本当に申し訳ない」
「と、藤司さんっ! 顔を上げてください」
何度もお願いするのだが、なかなか彼は頭を上げてくれない。
ギュッと握りしめられた拳はかすかに震えている。