年下御曹司は初恋の君を離さない
「寒かったのでしょう?」
「え?」
「私では貴女を温めて差し上げることができませんので、どうぞお使いください」
「っ!」
遠回しに〝近づかないでくださいね〟という意味を込めたことが伝わったらしい。
ムッとした顔をした畠山だったが、すぐにブランケットを受け取って愛想笑いをする。
「ありがとうございます。小華和さんは優しいですね」
柔らかくほほ笑んではいるが、目が笑っていない。
思わず指摘してあげようかと思ったが、これ以上彼女と話したくなかったので止めておく。
ここで俺の彼女に対しての心証が悪くなるのを恐れたのだろう。
だが、申し訳ないがすでに最悪な心証を抱いている。
再びシートに腰を下ろした俺に、彼女は懲りずに話しかけてきた。