年下御曹司は初恋の君を離さない
資料をテーブルに置き、「畠山さん」と声をかけて話をストップさせた。
彼女はようやく俺の興味を引くことができたと喜んでいる様子だが、俺は冷たくあしらう。
「必要ないですね」
「え?」
「私の力があれば、あと五年で成果を出して見せますよ。貴女の力を借りずとも、ね」
チラリと畠山を見れば、彼女は呆気に取られつつも言い返してくる。
「ご立派ですわね」
「ありがとうございます」
感情のない声で淡々と答えた俺に、畠山は妖しくほほ笑んだ。
その表情は、まさに私利私欲のためだけに生きている女の顔だった。
何か言おうとした彼女だったが、その声を遮るように機内アナウンスが流れる。既定通りの到着予定時間に到着するらしい。
そこでようやく口を閉ざした畠山を見て、俺はドッと疲れが押し寄せてきた。