年下御曹司は初恋の君を離さない
機体は地上へと降り立ち、ようやくこの気の重くなるような時間が終わるかと思うと安堵のため息が零れる。
精神的に疲れた身体を動かして機体から降り、到着ロビーを過ぎると彼女が再び声をかけてくる。
「私と手を組んでみませんか? 貴方を支えたいの」
「……」
「私はどうしても貴方がいい。そのためになら、どんな手を使っても構わないと思っていますのよ」
「……」
「どんな手を使ってでも、ね?」
では失礼いたしますわ、とだけ言うと、そのまま俺に背中を向けて歩いて行く。
「どんな手を使ってでも、ねぇ?」
俺は腕組をし、その場に立ち尽くす。
畠山の背中を見送ったあと、携帯を取り出して電話をかける。もちろん、未来さんの声を聞きたいからだ。