年下御曹司は初恋の君を離さない
「何度入っても、緊張するなぁ」
「そうなの?」
「そうなんですよ、未来さん」
ここ一週間、友紀ちゃんは我が家で寝泊まりし、そのたびに私の部屋へと訪れている。
そろそろ慣れてくるころかと思っていたのだが、それは違ったようだ。
確かに友紀ちゃんは、私の部屋へ来ると所在なさげにしていたかもしれない。
いつもの雰囲気とはまるで違う友紀ちゃんを見て噴き出していると、彼は面白くなさそうに顔を歪めた。
「別にいいですよ、バカにしても」
「バカになんてしてないよ? ただ……あ!」
咄嗟に友紀ちゃんは私の右手首を掴み、顔を近づけてきた。
真剣な表情の友紀ちゃんに目を見張っていると、彼はゆっくりと口角を上げる。
「次は未来さんの番ですからね」
「へ?」
「その余裕な顔を崩すところを見たいな」
「は……?」
手首を掴まれたまま、私はベッドに押し倒されていた。