年下御曹司は初恋の君を離さない

 何度もキスをしたあと、ゆっくりと友紀ちゃんが体勢を起こして唇は離れていってしまう。
 それがとても寂しくて、もっともっとキスをしてもらいたくて……思わず彼の腕を掴んでしまった。

「未来さん?」
「あ……」

 彼に声をかけられて、ようやく自分が彼に手を伸ばしていることに気がつく。
 慌てて友紀ちゃんの腕を離そうとすると、彼に手首を掴まれてしまった。

「もっと……してほしかったですか?」
「っ!」

 サッと頬に赤みが増した。顔が熱くてどうにかなってしまいそうだ。

「は、離して……!」

 動揺して手を振りほどこうとするのだが、より強い力で掴まれてしまう。
 友紀ちゃんは再び私に顔を近づけて、赤くなっているであろう私の目元に唇を寄せてきた。
< 305 / 346 >

この作品をシェア

pagetop