年下御曹司は初恋の君を離さない
「もう一度、改めて告白するつもりだから。そのときに、ね?」
「……っ」
「今、返事を聞いちゃったら……俺、箍が外れてしまうかも」
「!!」
「お願い、未来さん」
そんなふうにお願いされてしまったら、私は頷くしかできないではないか。
本当は彼に自分が抱いている気持ちを伝えてしまいたい。早く伝えたくて仕方がない。
だけど、友紀ちゃんにも何か考えがあるのだろう。
今は仕事に集中したいという思いがあるのかもしれない。それなら、私は彼を応援しなくてはならないし、秘書として彼を支えていきたい。
個人の感情を押しつけるわけにはいかないと思いつつも、少しだけ残念に思う。
勢いに任せて告げてしまいたかった彼への思いだが、友紀ちゃんからもう一度告白してくれるのを待つことにしよう。
私が小さく頷くと、友紀ちゃんは再び私の目尻に唇を落としてきた。
なんだか恥ずかしくて目を逸らすと、彼は小さく笑う。
その軽やかな低い声は、耳に心地がいい。包まれるように抱きしめられ、彼からの熱を背中から感じる。
幸せに目眩を覚えてしまいそうだ。
私はしばらくの間、友紀ちゃんの体温を味わいながら幸せに浸ったのだった。