年下御曹司は初恋の君を離さない

 会社だけでの付き合いではなく、友紀ちゃんは私の実家に寝泊まりをしているのだ。
 ステータスや地位に目が眩んでいる畠山さんにとって、友紀ちゃんは格好のターゲットなはずである。

 そのターゲットの身近にいる女である私を、彼女は見過ごすはずがない。
 藤司さんから聞いた七年前の真実。それが、何もかもを裏付けされている。

 和菓子店『せせらぎ』に通っているときには、畠山さんが手配したであろう男性に後を付けられていた。
 畠山さんは今も尚、私を監視しているのだろうか。しかし、今のところ私が不審に思う出来事は起きていない。
 それは、友紀ちゃんが守ってくれているからなのだろう。

 感謝の気持ち半分、申し訳なさも感じて複雑な心境だ。

 恐らく友紀ちゃんは藤司さんから、過去の出来事について聞いているのだと思う。
 だからこそ、私のことを片時も離さず、近くにいて守ってくれているのだ。

 畠山さんサイドから友紀ちゃんに縁談が持ち込まれているのは知っている。だが、その後どう対処したのかは聞いてはいない。
< 313 / 346 >

この作品をシェア

pagetop