年下御曹司は初恋の君を離さない

 彼と別れていた数年間で、私は恋をすることができなくなっていた。信じていた藤司さんに裏切られた―――実際は彼が私の身を案じて助けてくれていたのだが―――と思い、その反動で恋をすることを封印したのだ。

 だが今、私は恋をしている。恋心を封印した頑なな心を溶かしていったのは、友紀ちゃんだった。
 高校生の友紀ちゃんが最後に姿を見せた日、彼は私に魔法をかけたのだ。

『もし、未来さんが誰かのモノになっていたとしても、奪い取るつもりです。覚悟していてくださいね』

 再び私に会えたときには、もう一度告白をすると言って私の前から去った友紀ちゃん。
 そして、彼はその約束を果たしてくれた。あの日から、私の恋は始まっていたのだろう。

 だが、もう二度と彼から愛の告白はない。私が彼に「好きだ」と告白することもなくなった。
 悲しくて苦しくて泣き出してしまいそうになっているが、泣くのは家に帰ったあとだ。

 今日はもう、友紀ちゃんは我が家には来ないだろう。そして、永遠に……

 色々思うこともあるし、友紀ちゃんには言いたいこともたくさんある。
 私をその気にさせておいて、この結末はないんじゃないの? そう叫びたくもなってしまう。
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