年下御曹司は初恋の君を離さない


「わかりました。引き受けさせていただきます」

 お世話になった副社長自らの頼みだ。引き受けないなんて選択肢は私の中にはない。
 不安は残るが、やるしかないだろう。

 だが、やっぱり副社長が引退されるのは寂しい。

 そう言うと、彼は困ったように笑って「寂しがっている暇はないかも」とどこか楽しげに笑った。

「うちの甥は、なかなか策士なヤツでね。一筋縄じゃいかないんだ」
「は、はぁ……」
「良かったよ。未来さんが引き受けてくれて。誰も引き受け手がいないんじゃないかと思っていたんだよ」
「え……!」
「君が引き受けてくれなかったら、アイツどうなるかわからないからなぁ。ああ、良かった。これで治療に専念できるよ」

 副社長の言葉を聞いて、大きく目を開く。
 今、副社長はとんでもないことを言わなかっただろうか。

 もしかして、もしかしなくても……貧乏くじを引かされた?

 顔を引き攣らせている私を見て、副社長はニヤリと意味深に笑う。

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