年下御曹司は初恋の君を離さない
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「未来さーん、おはようございます!」
「おはよう、智子ちゃん」
「はうーーーん、今日も未来さんが世界中で一番お美しい、格好いいです!」
「あ、ありがとう?」
彼女のテンションについていけず、私は曖昧に笑う。
だが、智子ちゃんは特に気にすることなく、屈託なく笑った。
彼女、長谷川智子ちゃんは、私より三つ年下の二十五歳。
短大を卒業後、秘書部に所属して私の補佐的な仕事をしている。
彼女とはかれこれ、六年の付き合いである。
彼女は所謂縁故入社で、社長の姪に当たる人物だ。
社長夫人の兄の娘だという。
そんな彼女だが、私とは性格も見た目も真反対で、『でこぼこコンビ』なんて陰で言われていることは知っている。
五センチヒールを履くと百七十センチ以上になる私に対し、智子ちゃんは五センチヒールの靴を履いても百五十五センチ。
顔の作りも真反対だ。
私はクール系で中性的な雰囲気なので、ヘタをすれば男性に間違われることもある。
一方の智子ちゃんは、可愛らしくて守ってあげたくなるような顔立ちをしている。
もちろん、雰囲気もだ。