年下御曹司は初恋の君を離さない
そんなことを考えながらパソコンの電源を付けていると、智子ちゃんが思い出したかのように私に耳打ちしてきた。
「あ、そういえば。今日来るって言っていたかもです」
「え?」
何のことかと思って聞き返すと、智子ちゃんは顎に手を当て首を傾げた。
その様子はとても可愛らしかったが、内容はとんでもないものだった。
「ゆきちゃんのことですよ」
「ゆきちゃん?」
一体誰のことなのか。
智子ちゃんの友人となれば、もしかしたら他社の重役なのかもしれない。
そんなスケジュールが入っていたのか、共有しているスケジュールファイルを慌てて開く。
すると、智子ちゃんはケロッとした顔で言い切った。
「え? ああ、副社長のことです」
「は?」
「ですから、新副社長ですよ。小華和友紀です」
副社長の名前は、きちんと確認していた。
あの友紀ちゃんと同じ名前で、同じ漢字だったので、すぐに覚えたのだが……