年下御曹司は初恋の君を離さない
しかし、それができない事情があった。
それは、家の都合によるものが大きい。
うちの両親は、俺が高校二年生のときに離婚を決めた。未来さんに助けてもらった、少しだけ前のことだ。
父さんは最後の最後まで離婚に賛同できなかったのだが、毒になる親戚連中の近くに母さんを置いておくことはできないと悩みに悩んだ上で離婚する決断をした。
母さんも、父さんに対して愛情がなくなったわけじゃない。煩わしすぎる親戚連中に嫌気が差しただけだ。
本当は離婚なんてしたくはなかったようだけど、母さんも父さんのことを思って辛い決断をした。
あの頃、小華和堂は不況の呷りを受け、かなり危険な状況だと世間では見られていた。
だが、そう見えるように仕組まれていただけで、実は意図的に小華和堂を陥れようとする動きがあったようなのだ。
そのため、会社を建て直すために、とある会社令嬢との再婚話が持ち上がっていた。
もちろん、それは仕組まれた結婚だった。
裏には黒幕である当時の副社長がいて、その黒幕が小華和堂を乗っ取ろうとしていたのだ。
この副社長というのは、筆頭株主の縁者で蔑ろにできない人物だ。
そんな男の突然の反旗に、父さんたちは大慌てしたらしい。