年下御曹司は初恋の君を離さない
父さんと母さんは結婚していた。それなのに、二人を別れさせる前提で話が進められていたことに今でも尚、憤りを感じる。
とても失礼な話を母さんは耳に入れてしまい、かなり悩んでいたという。
その頃、父さんはすでに母さんと別れて再婚をしろと身内に迫られていたのだが、突っ返していたらしい。
それはもちろん、母さんと別れるつもりなんてなかったからだ。
ずっと隠し通していたのに、それが母さんの耳に入ってしまった。
当初、父さんは必死に母さんを説得したらしい。
『会社はなんとかできるから。君は気にしなくて大丈夫だよ』
そう言ったらしいが、反社長派は母さんを追い出すのにあらゆる手を使ってきた。
最後は、俺を陥れようとするまでに……
それが引き金となり、母さんは父さんと別れる決心をした。
だが、この後が父さんの執念のすごさというか、なんというか……
母さんと俺の安全のために泣く泣く離婚を決意した父さんだったわけだが、そこから父さんの大反撃が始まったのだ。
そのときの父さんの身近には、傷つけたくない人も失いたくない人もいなかった。
大事な家族は、すでに小華和とは関係のない人になってしまったから……