年下御曹司は初恋の君を離さない
専属秘書として上司の健康状態や精神状態を把握、そして仕事内容は過密しすぎないよう充分に気を回している。その意図をくみ取ってもらえると、こちらとしても嬉しいし、今後も頑張ろうという気になる。
副社長という地位は、本当に多忙を極める。それは、前副社長である隆二さんも同じく多忙ではあったが、友紀ちゃんはその上をいくかもしれない。
彼は数年前から小華和堂の社員として素性を隠して仕事をしていた。
つい最近まで海外にいたと私に匂わせておいて、彼はもうずっと前から日本に、そしてこの小華和堂にいたというのだから驚きだ。
工場での勤務も経験済みだし、支社の営業などもしたことがあるという。
そして、本社に来てからは経営戦略部でその力を遺憾なく発揮していたのだが、その仕事も引き続き続けているのだ。
さすがに副社長職に専念するだろうと思っていたのだが、『だって、あっちの仕事も面白いし』と言って友紀ちゃんは止めようとはしない。
二足のわらじを履く友紀ちゃんは、本当に忙しいのだ。
本来ならみっちり副社長の仕事を全うするべく、スケジュールも副社長職のみにしたい。
そこをグッと堪え、一日のうちに数時間は経営戦略部の仕事もできるように工夫をしている。