失礼ですが、強い女はお嫌いですか?
アニーの依頼を簡単にまとめると、盗まれた指輪を取り返してほしい、というものだった。
アニーに会った翌日。学校が休みのその日、早速リリエラ達三人は昼間の町へとくり出す。それぞれ別々の道を歩く彼女達の指には、共通して小さな白い石のついた指輪がはめられていた。
『私の家には代々、娘に受け継がれる指輪があるんです。高価な物ではないんですけど、女神の涙の捨て石がはめられた物で、今度結婚するからと母から譲り受けたのですが……』
そう言って耐えきれず涙を流したアニーの姿を思いだし、リリエラは辺りに向ける視線を強める。
「……金髪、長髪で、左耳にピアスの男ねぇ」
リリエラ達が現在行っているのは、指輪を盗んだ犯人である可能の高い男探しだ。
アニーが言うには、数日前、指輪を嵌めて歩いていたら突然、長髪の男に声をかけられたらしい。男はとても指輪に興味を示して、色々と聞いてきたのだとか。
指輪を譲り受けたばかりだったこともあり、アニーは自慢話をするように答えていたのだが、今思えば、保管場所や家族の話など、やたらと詳しく聞いてきたなぁと感じているという。
そして、男と会って二日後、朝起きると指輪が忽然と消えていた。
自警団に相談することも考えたが、代々受け継がれてきた指輪を無くしたなんて親に知られたくなかったアニーは、悩んだ末にリリエラ達の相談屋を頼ってきたそうだ。