翼の折れた鳥たちは
◇◇◇
「敦也くん、おはよ」
「おはよ」
いつもと同じ時間にリハビリ室にやってきた敦也くんの表情はやっぱり冴えない。
昨日の夜、あんなことがあれば眠れなかったんだろうな。
「昨日の夜、大変だったね」
敦也くんのことを考えるとやるせなくて、そんな声をかけると敦也くんは小さく頷く。
最近上達してきた車いすからマットへの移乗動作は、昨日ほとんど手を添えるだけで出来るようになったと喜んでいたのに、今日は私が介助しないと難しい程に明らかに意欲が低下している。
最近は毎日のように瞳を輝かせてリハビリに取り組んでいたのに、今日は眼に力が入っていない。