翼の折れた鳥たちは
「えっ?!何で?!」

「だって、リハビリ室空いてたんだもん。せっかくだから自主トレしようかと思って……」

驚きの声をあげた私を冷静な声のトーンの敦也くんが出入り口を指さしながら、伝える。

あぁ、部長がさっき扉開けたまま帰っちゃったんだった。

いつもの土曜日のこの時間は誰も居ないからリハビリ室も閉めてるんだけど。

って、そんなことより仰向けで横になっている私の顔を頭の方から敦也くんが覗き込んでるというこの体勢、意識したらとても恥ずかしい。

「ちょ、ちょっと!!敦也くん、近い」

「あぁ、ごめん。ごめん」

そう言いながら私から少し離れてくれたから、その隙に私は飛び起きる。

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