翼の折れた鳥たちは
「昨日、園田さんが亡くなって落ち込んでたんだ。だけど、葵ちゃんの歌聞いてたら元気になった。人生は一度きりなんだ、明日の保証なんてないんだって思った」

「うん」

「だから、今日を後悔しないように毎日頑張ろうって思ったんだ」

敦也くんの熱い言葉に胸が震える。

「葵ちゃんって口下手なのに、歌うと別人みたいに人の心を動かすパワーがあるよね」

うんうんと自分の言葉に納得するように敦也くんが何度も頷きながら喋る。

「褒めてくれるのは嬉しいけど、口下手は余計だよね」

恥ずかしくなって、口を尖らせてごまかすけれど、きっと今私の頬は朱に染まっていると思う。


「だって、本当のことじゃん」

そう言って敦也くんは鼻をフンと鳴らした。

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