翼の折れた鳥たちは
驚きの声を出した私に部長は一枚の紙を差し出す。

=入院時情報提供表=

明日入院する患者の情報が書かれた書類だ。

「えっと、病名は脊髄損傷」

「あぁ、彼はまだ20歳。しかも、理学療法士の卵だ」


書類に目を通し始めた私に、部長が難しい顔して放った言葉に私は凍り付く。


思わず部長を見つめてしまった。


「実習の前日、バイク事故で脊髄損傷。Th6、つまり胸椎の6番目の損傷だ。今後は普通車椅子での生活が中心となる」

「わ、私が担当しても大丈夫なんでしょうか?」


脊髄損傷の患者なんて治療したことがない。

学生の時に教科書で習った程度の知識だ。

私に務まるのだろうか不安がいっぱいで、部長に尋ねた。

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