翼の折れた鳥たちは

「ねぇ、少し自主練していいかな?」

子犬みたいな目をして私に尋ねる敦也くん。

「ちょっと、だけだよ」

『今日を後悔しないように毎日頑張ろう』

さっき敦也くんが言ったから、断るわけにはいかなくてそういうことしかなかった。



土曜日の午後、業務後で私も私服というシチュエーションがそうさせるのか、それともリハビリ室に二人きりという環境がそうさせるのか、今日の2人の間に流れる空気は柔らかい。

というより、私と敦也くんの関係は今は理学療法士と担当患者というより同志というか、友達というか、そんな感じ。

敦也くんの近くに寄り添って、高校の頃に流行ったモノの話だとか、好きだった芸能人の話だとか、たわいもない話をしながら敦也くんの自主トレを見学する。
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