翼の折れた鳥たちは
「いいわけないだろ?」

低い声色で、怒った様な口調で真剣な顔した敦也くんが私に問いかける。

「葵ちゃん、明日の保証なんてないんだよ?俺も、葵ちゃんも。人生は一回きりなんだ。だから葵ちゃんには後悔なんてしてほしくない」

「後悔なんて……」

しないって言いたかったけれど、その言葉は敦也くんの一言に掻き消される。


「何をそんなに怖がってるの?」


怖がってる?私が?

「歌手になりたいって認めること、どうしてそんなに怖がってるの?」

敦也くんが静かに、そう尋ねた。


敦也くんの言葉は矢のように私の胸の痛いところを確実に射て、私は隠し切れないほどにうろたえてしまった。

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