翼の折れた鳥たちは
「大丈夫だと思っているから、担当をお願いしてるんだが」

真っすぐな眼差しでそう告げられて、息を飲みこむ。

「でも、脊髄損傷の治療は教科書レベルでしか見たことなくて」

「誰でも最初は分からないことばかりだ。だからこそ、勉強してうまくできる様になるんだろ」


ふいに口をついて出た私の弱音に、強い口調で部長が答える。



「彼を通してしっかり学びなさい。彼の将来を考えながら、治療をすることが重要になってくる。もちろん、治療のフォローは僕がする。」

私は大きく頷く。


「星原さんが理学療法士を続けるかどうか、この間の答えは彼の治療期間が終わる頃まで待つことにするから」

部長の言葉に私はもう頷くしかなかった。


「担当してくれるかな?」

「はい、頑張ります」


私の返事に部長は安心したような微笑みを浮かべたのだった。

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