翼の折れた鳥たちは


「師長、お疲れ様です。何されているんですか?」

木下さんのベッドサイドでのリハビリを終えて、談話室を通りかかると珍しく脚立に昇って作業している看護師長が見えたので、声をかけた。

「あら、星原さん。ちょうどよかった。そこのポスター一枚とってくれる?」


どうやら掲示板のポスター類を張り替えているらしく、脚立に昇ったまま師長は乱雑に床に置かれたポスターを指さした。

「敦也くん、とても良くなったわね。正直、私も驚いてるわ」

私が手渡した小さなポスターを張りながら、看護師長は明るい声色で私に話始める。


「えぇ、敦也くん毎日自主トレも頑張ってますもん。成果が出てるみたいです。だけど、まだ外に出ることを怖がって……」


そこまで話をしていて、私は師長が貼り始めたポスターに一瞬にして目を奪われて、息を呑んだ。


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