翼の折れた鳥たちは
「ほら、うちの病院来年から緩和ケア病棟を開設するじゃない?だから墓参りに行きたいだとか、誕生日会を開きたいだとか、家族だけじゃ叶えることが難しい患者さんの希望を出来る限り支援しようってボランティアのグループをこの間立ち上げたのよ」


そんなこと、全く知らなかった。

「代表は栄養部の前田さん。って、朝礼でこの間、事務長が報告していたの聞いてなかったの?」


若干冷たい視線を投げかけられて、小さくなりながら私は師長に質問する。


「この活動、もう動いてるってことですよね?」

「う、うん。多分そうだと思うけど」


詳しくは師長だって知らないらしい。

私はお礼だけを伝えると、足早に階段を駆け下りた。

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