翼の折れた鳥たちは
「やっぱりここだった」
さっき敦也くんの話半分しか聞けなかったことも気になっていた私は、業務を終えると敦也くんの病室、リハビリ室と探し回り、ようやくテラスで敦也くんの姿を見つけた。
「あれ、葵ちゃん。どうしたの?」
気が付けば息を切らしていた私に、敦也くんはいつもの柔らかな表情で話しかける。
「ねぇ、敦也くん。外出しない?」
「えっ?」
私の提案はきっと敦也くんの想定外のものだったのだろう。
敦也くんが目を真ん丸にして驚いた表情を見せる。
「きゅ、急にどうしたんだよ、葵ちゃん」
明らかに戸惑っている様子の敦也くんの声は少しだけ固さが残る。