翼の折れた鳥たちは
「あのね、うちの病院で『あなたの夢かなえます』ってボランティアグループ立ち上げたんだって」

困惑している様子の敦也くんとは対照的に、私のテンションはさっきから上り調子だ。

ボランティアグループの話を説明したけれど、敦也くんの表情はこわばっているのが一目で分かる。


「いつかは車いすで屋外活動のリハビリもしなきゃいけないって考えてたの。屋外でリハビリするなら楽しいところに行こうよ」

私の説得に敦也くんがうぅんと唸るような声をあげて腕組みをしながら空を見上げる。

その横顔は、まだ険しくて難しい顔してる。


「ねぇ、どこ行こうか?映画とか買い物?あっ、電車とか乗ってみる?なんかデートみたいだね」

敦也くんの強ばった表情をどうにかいつもの柔らかな笑顔にしたくて、畳みかける様に提案する。

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