翼の折れた鳥たちは
「それなら、バスケ」

空を見上げたまま、敦也くんがポツリと呟いた。

「えっ?」
一瞬、何を敦也くんが言ったのか分からなくって聞き返す。

すると、今度は私を真っすぐに見つめてはっきりと伝える。

「バスケ、見に行きたい」

敦也くんの発言が私の予想を超えていたせいで、今度は私が難しい顔する番みたいだ。

「今度さ、アメリカで超有名な選手が日本に凱旋して試合するんだって。この間、ニュースで言ってた」

敦也くんが口にしたその選手は、バスケのことなんて全く知識のない私でも名前だけは聞いたことのある超有名なスター選手。

その試合を敦也くんは見に行きたいというわけだ。

< 159 / 290 >

この作品をシェア

pagetop